「ここにもあったよ! ふるさと上鷺宮の花だより(朝顔編)」No.49

 この花ほど現代の我々と密接に結び付いた花はないでしょう。小学校の夏休みの課題として朝顔の栽培と観察がいまでも続いているのではないでしょうか。原産地はヒマラヤから中国にかけてと、熱帯アジア、また近年は熱帯アメリカ大陸という説が出されているようです。

朝顔は朝咲き、その後、昼にはしぼんでしまう「朝美人」に例えられた儚き花。日本では…奈良時代末、遣唐使が種を薬として持ち帰ったと言われています。(平安時代とも)万葉集では朝顔は桔梗を指している、とも。万葉集の憶良の秋の七草を詠った歌に「萩、尾花、葛花、撫子、女郎花の花、藤袴、また朝顔の花」とありますが、この朝顔は桔梗とされています。それを渡来した儚き花を新たに朝顔として分類したのでしょう。(今、時々、目にする昼夜問わずに花開き原色でたくましい朝顔は外来種です)朝顔の種は牽牛子(けんごし)と呼ばれ粉末にして下剤や利尿剤き効く漢方薬で貴重であり重宝したようです。この薬は牛を牽いて交換するほどの効能があったところから、牽牛子という別名が付いたようです。(ちなみに奈良県明日香に牽牛子塚古墳があり斉明(皇極)天皇陵墓とされています)

世界的に見てもこれほど形態が多種多様に変化した園芸植物は朝顔の他にないと言われています。特に江戸時代に品種改良が進んだようです。これが発展して明治時代初期から入谷の朝顔市が始まりました。

朝顔に つるべとられて 貰い水  加賀千代女
暁の 夢の余波を眺むれば これもはかなき 朝顔の花     藤原定家
君来ずば 誰に見せまし 我が宿の 垣根に咲ける 朝顔の花  拾遺集

【戸引】

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