つい10年ほど前まで都立武蔵丘高校正門から東へ向かい20m位の右側の畑脇にお茶の木が道沿いに植わっていました。私は初冬に白い花を付ける佇まいが大好きでした。今は町内で見ることは無くなりました。一輪挿しに似合う清楚な花です。名の通りに「茶の花」です。茶会にも使われる「茶花」です。茶木は現在、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、アメリカ等の一部の地域で栽培されているようです。ご存じのように緑茶、紅茶、ウーロン茶等は同じ茶の木から葉が収穫されます。それを商品化するために最適な葉は新芽の数センチほどです。その茶葉の発酵の有無、製造方法でそれぞれ世界で特徴ある各種のお茶として商品化されているのです。例えば緑茶(日本茶)は不発酵茶、紅茶は完全発酵茶、ウーロン茶は半発酵茶…というように。
 日本に渡来した時期は、はっきりしませんが調べると805年に唐より最澄が茶の種を持ち帰ったとも言われてもいます。が、最近の研究ではすでに奈良時代に渡来したとも言われています。その後、お茶としてよく飲まれるようになる風習を持ち込んだ元祖は栄西とされています。彼が1191年に唐から種子、苗木と共に、抹茶の飲み方を伝えたようです。それが貴族、武家、やがては庶民へと長い時を経て日本文化として、嗜好品として定着していったんですね。日本の茶の文化は時の権力者をも魅了し、その時々にそれを政治利用していました。茶会にしても…一国にも匹敵する高価な茶器 (現在、国宝に指定されているものも多くある) にしても…これらを武器とした足利将軍家、信長、秀吉、家康、諸大名…茶道という茶の文化を確立し、これらの権力者達に教え広め、多大な影響を与えた利休。その「茶の文化」が現代にも脈々と息づいています。
 当初は漢方薬として使われることが多かった茶。それがかつては様々な明暗の顔を見せ乍ら変遷をたどりました。そして今は心安らぐ味わい深さと、健康に有効な日本茶!として世界にも愛されています…さらには抹茶アイス等、茶を使用した菓子類にと。その多岐にわたる影響力にも驚かされます
 もう一つ、「茶」に関して触れたいことがあります。ああ!そういえば…と思い出す!
「民謡、童謡にも茶」が登場します…茶摘みの歌「あれに見えるは茶摘みじゃないか…」。ちゃっきり節。ずいずいずっころばし…
 また「ことわざにもお茶」が登場します。お茶の子さいさい。娘十八番茶も出花。お茶を濁す。ヘソを茶で沸かす。日常茶飯事。茶化す。無茶苦茶。茶の間。茶箪笥。茶番劇。二番煎じ。茶柱が立つ。お茶目…何と多いことか。それほどお茶が日本人には身近だったのですね。
 茶花に関する短歌、俳句を探したのですがなかなか気に入ったものが見つかりませんでした。
 そこで…次の二句を紹介いたします。

茶の花に かくれんぼする 雀かな              小林一茶
茶の花に 暖かき日の しまいかな              高浜虚子

【文・写真】戸引 一博