日本の古名は「ハチス」。花が散った後の花托がハチの巣に似ているのでこの名がつけられた。ハスの花とスイレンをさして仏教ではレンゲという。(英名ではロータス。元々は古代エジプトから自生していた睡蓮の一種が由来、という説も)御仏は蓮の花の上に座していらっしゃる。仏教では聖なる花。花の咲き終わった茎の上が種を含み蜂巣のような形になるのでハチス=蓮と名付けられた。「一蓮托生」という語も産む。その蓮は水面下の地下茎によって増えていく。そう。あの蓮根である。蓮はピンクと白色の花がある。鷺宮4丁目のお宅には沢山のピンクの蓮の花が咲いている。道路の脇に植えているので見ることができる。また中村南の二十三区で唯一、味噌を醸造し販売している味噌蔵の庭にも蓮の花を見ることができる。実は蓮の大群落が都内にある。ここが都内でスケールが一番ではないか。上野の不忍池である。池一面に咲く。6月の末~8月にかけて咲く。それは見事である。以前にも紹介した練馬のS園芸店にも売られている。そうそう。デパートにも入っている有名和菓子屋の商品に蓮の実を甘納豆風に味付けした銘菓もある。癖が無く美味しい。
 この様な蓮には実に逞しい生命力がある。かの有名な大賀ハス。大賀東大農学部教授が千葉県の検見川で1951 3/30に 2000年前の弥生時代の地層から蓮の実を発見。研究の末、開花に成功。また世界遺産になっている中尊寺境内で有名な金色堂須弥壇から発見され、その後、発芽に成功した800年以上前の中尊寺ハス。さらに、行田市では1300年から3000年前の種から発芽した行田ハスがある。大賀ハスは全国に広がっている。このようにえもいわれぬ生命力と美しさが古来より洋の東西の文化に尊重された証だと思われる。

久方の 雨も降らぬか 蓮葉に 溜まれる水の 玉に似たる見む        新田部皇子
小夜ふけて 蓮の浮葉の露の上に 玉と見るまで 宿る月影          源 実朝
ほのぼのと 舟押し出すや 蓮の中                     夏目漱石

【文・写真】戸引 一博