尾形光琳「躑躅図」 ネットから

 桜から開花のバトンを受けるように咲く華麗な躑躅。庭木でも、道端でも、色とりどりに咲く躑躅は実に美しい。特に富士見台の千川通りから武蔵丘高校に伸びる道沿いのツツジロードは毎年、地域住民の目を楽しませてくれる。躑躅はアジアから西洋に持ち込まれて様々な種類として広がる。西洋ではアザレア。ツツジは万葉集にも登場するので日本古来の種が存在していたのであろう。特に有名なのは群馬県館林のつつじが岡公園。その何本かは樹齢800年以上もあると言われている。
 つつじの幼き思い出としてはサルビアの花のように花弁を摘み、茎に近いところをなめると、ほのかに甘かった。甘いものが少なかった時代。貴重な花だった。しかし、今回調べていくと、躑躅の種子には猛毒が含まれ、命にかかわると。種子までは口にすることはないが、これには驚かされた。花が筒状になっているので「つつ」と呼ばれ「つつじ」になったとも、花が連なって咲くことから「つづき」から「つつじ」に…とも。

 さて、今回は恋多き平安時代の和泉式部の和歌。

「 岩つづじ 折り持てぞ見る 背子が着し  くれなゐ染の 衣(きぬ)に似たれば 」  和泉式部
現代訳( 岩つつじを手折って、それをただ見つめています。 そのつつじの色合いが、わたしの愛しい人が着ていた紅染めの衣の色にとてもよく似ているので )

  万葉集などに「つつじ」に関する良き和歌が少なかったので、今回はこの一首で失礼します。

【文・写真】戸引 一博