11月あたりから黄葉が始まります。昨年はこの稿で紅葉(黄葉)全般を取り上げましたが、今回は銀杏(公孫樹)に焦点を当てました。個人的に銀杏の黄葉が大好きです。しかも町内どこでも見ることができます。桜同様、多くの学校に植えられています。朝日に夕日に、まさに黄金色に染め上げられた、と見まごうほどキラキラ輝く銀杏の美しさは思わず立ちすくみます。黄葉するナラ、クヌギ等の黄葉とは比べようもない鮮やかさです。
 さて、銀杏は不思議な植物です。まずそこから覗いてみましょう。

《不思議な植物…銀杏(公孫樹)》
 実は銀杏は生きる化石ともされています。昔、授業で習った記憶があります。この植物は何と恐竜が歩き回っていた中生代(今から2億年近く)からの生き残り。新生代にかけて全世界に繁茂していたようですが突如ほぼ絶滅状態に。どうやら氷河期の到来が原因ともいわれています。しかし、そのわずかな生き残りが今、近くで目にできる銀杏。雌雄の株があります。銀杏(ぎんなん)のなる木が雌木。
 さらに銀杏が防災にも活用されています。落葉した葉はきわめて燃えにくい。つまり火に強い特性があり街路樹として植えられている地域もあります。また最近、注目を集めているのが薬効。葉から抽出された物質に認知症改善の有効性がある、とされています。さあ、今後、銀杏の薬効が認知症の救世主になるかどうか……

 銀杏を万葉集には見つけられませんでしたので、著名な方々の登場を願いました。

俳句
鐘つけば 銀杏散る鳴り 建長寺                       夏目漱石
銀杏散る 童男童女 ひざまずき(銀杏のあまりのきれいさに幼い男女がしゃがんで落ち葉を無邪気に拾っている姿がたまらなく愛しい)               川端茅舎

短歌
燃え上がる 銀杏落葉の金色に おそれて足を踏み入れにけり          中村憲吉
金色の 小さき鳥の形して いてふ散るなり 夕陽の丘に           与謝野晶子

【文・写真】戸引 一博